BCPにまつわる話
千葉賢治氏
「西日本豪雨」から1年。各地でゲリラ豪雨による甚大な被害が発生しています。
現在では、地震と同様に警戒するべき災害の1つとして「水害」の対策が必要になっています。
もし、水害が起きてしまったとき、企業としてどのような対応をするべきなのか、事業継続はどうするのかなど、BCPを策定して非常時に備えておくことが近々の課題ではないでしょうか?
近年の水害による企業への被害(みんなのBCPより)
平成26年8月の西日本豪雨
西日本の広い範囲で豪雨が起こり、土石流、浸水といった関連する災害も深刻でした。京都では、土嚢を積む作業中、濁流にのまれた男性が死亡。兵庫では、治山工事中、大雨に備えるため点検をしているときに濁流にのまれた男性が死亡するといったように、業務中に災害に巻き込まれて命を失った人もいました。
また、農業用施設の被害は6,000箇所以上、木材加工・流通施設の被害は20箇所以上、漁船や漁具、養殖施設などの被害は100箇所以上で発生しました。
平成30年7月の西日本豪雨
西日本を中心に、台風や梅雨前線などの影響で集中豪雨が発生しました。死者は200人以上、負傷者は400人以上、建物の被害は数万という大規模な被害が発生したこの災害では、企業への被害も著しいものでした。
被災地域には17万社以上の企業があり、その業種はサービス業・小売業を中心に、建設業や製造業など、多岐にわたっていました。
各業種では、休業することになったり、お中元などの配送が遅れたりといった影響が発生したほか、従業員の自宅への被害も見られました。店舗休業については、浸水の他、商業施設の断水が原因となりました。
大企業の被害は次の通りです。
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IHI…設備には影響がなかったものの、従業員の住居への被害や断水が原因となり広島の呉にある工場の稼働を停止。
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マツダ…従業員への被害と物流のトラブルが原因となり、広島にある工場の稼働を見合わせ。
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三菱重工…断水が原因で複数の工場が稼働停止。
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パナソニック…浸水、電力供給のストップにより、岡山の工場の操業を停止。
その他、NTT西日本では、通信サービスの利用が一部地域でできなくなったり、昭和シェル石油でも、広島にある油槽所からの供給が土砂崩れによる通行止めのために見合わせられたりと、各企業がさまざまな被害を受けました。
このように、水害による企業への被害は深刻であることがわかります。
では、何からはじめればいいか?
まずは現在の状況の把握から。ハザードマップなどを参考にして危険地域にあるかどうかの確認をして下さい。
もし、浸水の危険がある場合、止水版や土嚢の用意が必要です。
また、状況に応じて、設備の移動なども必要になるため、事前に取り決めをしておいてください。
従業員の安否確認。緊急時の参集人員の確保なども決めておくといいでしょう。
取引先との連携も必要になります。
・災害発生時の情報共有するための手段、自社や取引先が被災した際の代替工場の確保(相互支援協定を結ぶ)などしておくことも大切です。
水害BCPを策定しておくことで、自社、従業員、取引先を守ることができます。
是非、地震のBCPだけではなく水害に対するBCPも策定していただけたらと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。